イレカワリ~番外編~
ずっとずっと好きだった。


だから、俺は歩の事を気になんてしていなかったんだ。


それが、歩がずっと沙耶への気持ちを我慢していたのだとしたら?


準備をしながら俺は歩を見た。


歩はここねちゃんと2人で仲良く準備を進めている。


沙耶への気持ちを諦めたところにここねちゃんが現れのだとしたら?


1度そう考え始めると、そうとしか思えなくなってくる。


歩は今までずっと俺に嘘をついていたのだ。


沙耶への気持ちをなかったものにしたんだ。


「海、沙耶ちゃんと連れておいで」


お父さんにそう言われて、俺はハッと我に返った。


見ると準備はすでに終わっていてみんな待機している状態だった。


「あ、あぁ……」


俺は無理やり笑顔を作った。


今から沙耶の誕生日会だ。


余計な事は考えず、楽しい事を考えなきゃいけない。


だけど、どうしても歩とここねちゃんの方を見る事はできなかったのだった……。
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