イレカワリ~番外編~
震える。


体が、心が震える。


分かっていたことだった。


沙耶がもう長くない事を。


来年の夏が来るかどうかもわからない事を。


だからこそ俺は沙耶と来年の夏の約束を交わしたんだ。


絶対に、絶対によくなって3人で遊ぼうと。


「お前は最低だ!! 沙耶のことだって本当はまだ好きなんだろ!?


 それなのに俺に隠して、ここねちゃんを選んだんだ! 沙耶にそっくりだって理由だけでここねちゃんを選んだんだ!!!」


気が付けば、俺は玄関先で叫んでいた。


歩の、ここねちゃんへの気持ちが本物かどうかなんて、俺にはわからない。


だけど、歩は俺の言葉を否定しなかった。


ただ俯きひたすら「ごめん」と、繰り返していたのだった……。
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