イレカワリ~番外編~
亀裂
俺と歩の間に入った亀裂はそう簡単には消える事はなさそうだった。
歩は俺の言葉を否定しなかった。
沙耶の事が好きなのに諦めたこと、ここねを沙耶の代わりに好きになった事、その全部を否定しなかったんだ。
翌日になってもその怒りが覚める事はなく、俺はイライラしながらダイニングへと向かった。
朝食のいい香りがするけれど食べる気にはなれず、牛乳だけ飲んで顔を洗った。
鏡に映る自分の姿が歩にそっくりで、思わず舌打ちをした。
乱暴にタオルで顔をふいて、玄関まで向かう。
「もう行くの?」
朝ご飯を作っていた途中のお母さんが顔を出してそう聞いて来た。
「うん。歩と顔を合わせたくないんだ」
俺はそう言い、家を出た。
自転車をこいで学校へと向かう。
時間はまだまだ早い。
まっすぐ学校へ向かってもまだ誰も来ていないだろう。
俺は学校の近くにある小さな公園に足を運んだ。
一度も来たことのない公園だけれど、時間つぶしのためだった。
その時、ベンチに座っている女の子の姿に気が付いた。
「あ……」
思わず声に出すと、女の子も視線をあげてこちらを見た。
そして目を丸くする。
歩は俺の言葉を否定しなかった。
沙耶の事が好きなのに諦めたこと、ここねを沙耶の代わりに好きになった事、その全部を否定しなかったんだ。
翌日になってもその怒りが覚める事はなく、俺はイライラしながらダイニングへと向かった。
朝食のいい香りがするけれど食べる気にはなれず、牛乳だけ飲んで顔を洗った。
鏡に映る自分の姿が歩にそっくりで、思わず舌打ちをした。
乱暴にタオルで顔をふいて、玄関まで向かう。
「もう行くの?」
朝ご飯を作っていた途中のお母さんが顔を出してそう聞いて来た。
「うん。歩と顔を合わせたくないんだ」
俺はそう言い、家を出た。
自転車をこいで学校へと向かう。
時間はまだまだ早い。
まっすぐ学校へ向かってもまだ誰も来ていないだろう。
俺は学校の近くにある小さな公園に足を運んだ。
一度も来たことのない公園だけれど、時間つぶしのためだった。
その時、ベンチに座っている女の子の姿に気が付いた。
「あ……」
思わず声に出すと、女の子も視線をあげてこちらを見た。
そして目を丸くする。