イレカワリ~番外編~
「海君……だよね?」


ここねちゃんは少し首を傾げてそう聞いて来た。


歩と俺の見分けが付くのか。


その事に驚きながらもベンチへと近づいていく。


「ここねちゃんは何をしてるの?」


「勉強。ここで少し勉強をしてから学校へ行くのが日課なの」


ここねちゃんはそう言い、体をずらして俺に座るスペースをくれた。


俺はそれに従うようにここねちゃんの隣に座った。


「言えで勉強すればいいのに」


「だめ。あたしの家兄弟が多くて勉強できないの」


ここねちゃんはそう言い、何か思い出した用のクスッと笑った。


エクボが見える。


「そうなんだ」


「うん。前にね、歩にもここで会ったんだよ」


「歩に?」


「うん。その頃にはあたしもう歩の事が好きだった」


ここねちゃんはそう言い、頬を赤くした。


「そっか……」


ここねちゃんの言葉に俺の胸には黒いモヤが渦巻いていく。
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