イレカワリ~番外編~
「歩、なんで怒ってるの?」
ここねは困ったように眉を下げて俺を見た。
本当に理解していなさそうで、ため息が出る。
「ダメはものはダメだ。ほら、お前らも返せよ」
俺はここねの写真を持っている連中から、その写真を奪い取った。
「なんだよお前、いつもここねちゃんの事独り占めしやがって」
どこからともなくそんな声が飛んできた。
俺は無視してここねに写真を返す。
「お前さ、別にここねちゃんの彼氏じゃないんだろ? だったら俺たちだってここねちゃんと会話くらいしていいだろうが」
隣にいた奴がそう言い、俺の肩を叩いた。
その痛みに一瞬顔をしかめる。
「会話をするななんて言ってないだろ。俺はただ――」
「あたしは、みんなと一緒にいられたらそれでいいかなって、思ってるよ」
俺の言葉を遮るように、ここねがそう言った。
いつものように笑顔を浮かべて、不特定多数の男子生徒に向けている。
その時俺はハッとした。
沙耶と似た顔のここねの笑顔が、俺は欲しかったんだと。
沙耶の涙ばかりを引き受けている内に、知らない間に俺は笑顔を向けてくれる子を探していたんだと。
「ね、写真が見たかったら見せてあげる。だからみんなあたしと仲良くしてね」
そう言って俺の欲しい笑顔を浮かべるここねを見て、俺は何も言うことができなかったのだった。
ここねは困ったように眉を下げて俺を見た。
本当に理解していなさそうで、ため息が出る。
「ダメはものはダメだ。ほら、お前らも返せよ」
俺はここねの写真を持っている連中から、その写真を奪い取った。
「なんだよお前、いつもここねちゃんの事独り占めしやがって」
どこからともなくそんな声が飛んできた。
俺は無視してここねに写真を返す。
「お前さ、別にここねちゃんの彼氏じゃないんだろ? だったら俺たちだってここねちゃんと会話くらいしていいだろうが」
隣にいた奴がそう言い、俺の肩を叩いた。
その痛みに一瞬顔をしかめる。
「会話をするななんて言ってないだろ。俺はただ――」
「あたしは、みんなと一緒にいられたらそれでいいかなって、思ってるよ」
俺の言葉を遮るように、ここねがそう言った。
いつものように笑顔を浮かべて、不特定多数の男子生徒に向けている。
その時俺はハッとした。
沙耶と似た顔のここねの笑顔が、俺は欲しかったんだと。
沙耶の涙ばかりを引き受けている内に、知らない間に俺は笑顔を向けてくれる子を探していたんだと。
「ね、写真が見たかったら見せてあげる。だからみんなあたしと仲良くしてね」
そう言って俺の欲しい笑顔を浮かべるここねを見て、俺は何も言うことができなかったのだった。