イレカワリ~番外編~
後悔
俺はここねが好きなワケじゃなかったのかもしれない。


隣で男子生徒に写真を見せて騒いでいる様子を見て、俺は息を吐き出した。


「なんだよ、失恋?」


純がそう聞いてくる。


「……どうかな」


なんだかもうわからなくなってきてしまった。


ここねを見た瞬間体に電気が走った事は事実だった。


だけどそれも、沙耶に似ているからという幻想だったのかもしれない。


ここねと距離を縮めていくうちに、その恋心が本物になったと勘違いしていただけかもしれない。


現に、今のここねをみても俺は全くときめかなかった。


「もう一回最初から始めたらいいだろ」


純が言う。


「初めからって?」


「リセットするんだよ。ゲームみたいに頭の中をゼロからにするんだ」


「ゲームみたいにって……」


そんな事が現実でできたら、そんな苦労はしないだろう。


俺は窓の外を見た。


夏はどんどん通り過ぎていき、時期に秋が来るだろう。


そして、心も体も冷えるような冬もすぐにやって来る。
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