イレカワリ~番外編~
「俺は、もう後悔はしたくないんだ」


遠い記憶を呼び覚まして、俺はそう言った。



「誰だってそうだ。でも後悔するのが人間だろ」


純が少し大人っぽい事を言うので、俺は思わず笑ってしまった。


その通りだ。


その時に気が付かないから、後悔するんだ。


だけど俺は途中で気がつく事ができたんだ。


きっと、今からでも遅くはないんじゃないか。


そんな気持ちになってくる。


「俺は海と沙耶を応援したい」


「嘘じゃないよな?」


「もちろん」


俺は純の言葉に素直に頷いた。


あの2人は一緒にいるべきだと思う。


限りある時間をなるべく一緒に過ごすべきだ。


「で、歩はどうするんだよ?」


「俺は……」


俺はここねを見た。


いつの間にか男子生徒たちはそれぞれの席に戻っている。


俺は席を立ち、ここねの前に立った。


「どうしたの?」


いつものように笑顔を浮かべて、小首を傾げるここね。


俺はこの笑顔を横に置いておきたい。


「放課後、時間ある?」


俺はここねにそう聞いたのだった。


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