エドガー
7日目
7日目。
エドガーの今日の役割は、こころを磨くことだった。ここのところ、毎日のように補修作業をしていたので、ロクに言われたときには少しだけほっとした思いをした。
今日も磨き用の布でバケツいっぱいに集められたこころを1つ1つ磨く。
こころは1つとして同じものがないので、エドガーはその手触りや特徴を眺めながら磨いていた。
瑪瑙のかけらや、紫水晶、翡翠でところどころ継ぎ接ぎがされたそれを、時々目を凝らして見ているとそれらは応えるようにキラリと光った。エドガーはそれが自分と喋りたがっているようにも見え、なんだか愛おしくなった。
そのうちのひとつ、紅石英のかけらが埋め込まれたところが1段と強く光ったところで、エドガーの手は止まった。
よく目を凝らしてみると、紅石英のかけらの奥に人の顔が浮かんだ。それは兄弟たちの誰の顔でもなく、その顔は笑っていた。
エドガーがまたたきをひとつすると、その映像はふっと消えてしまった。
エドガーはとても驚いて、隣で作業をするロクを見た。
「ねぇ、ロク、今このかけらの奥に何か見えたよ」
世紀の大発見をしたかのように報告をするエドガーに、ロクはにこりと微笑んだ。
「それはね、エドガー。こころの記憶だよ。」
「こころに記憶があるの?」
「忘れられない思い出や、記憶が宿るものなんだ。たまに僕らにも見えることがある。そういうものは、ずっと、ずっと消えないものなんだよ」
「磨いても消えないの?」
「消えないものなんだよ」
ふーん、とエドガーはもう一度こころを見下ろしたが、もう記憶は見れなかった。ただ、エドガーの手のひらでキラリ、キラリと光っているだけだった。
エドガーは息を吹きかけて、ことさら丁寧にこころを磨くことにした。
エドガーの今日の役割は、こころを磨くことだった。ここのところ、毎日のように補修作業をしていたので、ロクに言われたときには少しだけほっとした思いをした。
今日も磨き用の布でバケツいっぱいに集められたこころを1つ1つ磨く。
こころは1つとして同じものがないので、エドガーはその手触りや特徴を眺めながら磨いていた。
瑪瑙のかけらや、紫水晶、翡翠でところどころ継ぎ接ぎがされたそれを、時々目を凝らして見ているとそれらは応えるようにキラリと光った。エドガーはそれが自分と喋りたがっているようにも見え、なんだか愛おしくなった。
そのうちのひとつ、紅石英のかけらが埋め込まれたところが1段と強く光ったところで、エドガーの手は止まった。
よく目を凝らしてみると、紅石英のかけらの奥に人の顔が浮かんだ。それは兄弟たちの誰の顔でもなく、その顔は笑っていた。
エドガーがまたたきをひとつすると、その映像はふっと消えてしまった。
エドガーはとても驚いて、隣で作業をするロクを見た。
「ねぇ、ロク、今このかけらの奥に何か見えたよ」
世紀の大発見をしたかのように報告をするエドガーに、ロクはにこりと微笑んだ。
「それはね、エドガー。こころの記憶だよ。」
「こころに記憶があるの?」
「忘れられない思い出や、記憶が宿るものなんだ。たまに僕らにも見えることがある。そういうものは、ずっと、ずっと消えないものなんだよ」
「磨いても消えないの?」
「消えないものなんだよ」
ふーん、とエドガーはもう一度こころを見下ろしたが、もう記憶は見れなかった。ただ、エドガーの手のひらでキラリ、キラリと光っているだけだった。
エドガーは息を吹きかけて、ことさら丁寧にこころを磨くことにした。