君を想って……
麻紀の声があまりにも大きくて、そこにいた全員が視線をこちらに向ける。
『あ……、すみません……』
おずおずと、頭を下げた。
おじいちゃん先生は、そんな麻紀にただただ微笑むしかなかったようだ。
「で?その南波先輩がどうしたの?」
『瑶、本当に南波先輩のこと知らないの?みんな知ってるのに』
だって、知らないもんは知らないよ。
まあ、2年になっても有名な先輩の顔ですら覚えられない私って、どうなんだろう。
あ、次私達だ。
『2年5組、篠田麻紀ですっ!』
『同じく、楠木瑶です』
麻紀の、このハイテンションぶりは、どこから来るのやら。
結局、委員会の時に先輩のことについて聞けなかったから、帰りに教えてもらうことになった。
と言っても、麻紀が話したいって言ったからだけどね。