君に、最後の長いためいきを
愛しさを忘れたいから。
いつからかなんて分からない。


それでもこの感情は恋と言うのだと、俺はあいつが好きなのだと知っていた。


俺たちの関係の始まりはもうおぼろげで覚えていないけど、確か両親が仲良かったから、とかそういう曖昧な感じだった気がする。


仲良く一緒に通学していた小学生時代に始まり。


一緒に通学したらからかわれて、お互いにぎくしゃくした、中学生のとき。


俺は意地を張ったのに、夜道に墓地の前を一人で通るのなんて嫌だ、絶対嫌だと半泣きですがるあいつに根負けして、最終下校時刻の部活終わりまで待たされた。


仕方がないから一緒に帰っている態で、内心嬉しかったことは今も秘密だ。


高校生のとき、追いかけ追いかけられるように同じ学校に進学した。


選んだ理由は二人とも、表向きには、家から徒歩で通えるから、だったけど、本当はどこかで互いを意識していた……ように思う。


関係は大学生で終止する。


将来なりたいものはさすがに違った。


実際俺も、あいつはずっと隣にいてくれる、なんて馬鹿みたいな幼い夢は見ていなかった。


そんな都合のいい甘い夢は見てはいけない気がしていた。


……気持ちを言葉で型どったら、きっと叶う夢だったのに。
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