黒桜 〜あたしと5人の黒狼〜
「…俺の親父は、最低のクズ野郎だった。まともに働かねぇし、金は全てギャンブルにつぎ込んだ。…おふくろのことも、殴ってばっかだった」
初めて聞く、泰雅の家族のこと。
自分のことなんて、話したことないのに…。
「こんな男にはならねぇ。…ずっとそう思ってきた。だけど…」
泰雅が口を紡ぐ。
レイは、相変わらず冷たい目で、泰雅を見ていた。
クロも、あたしの隣で座って話を聞いてる。
「やっぱ、ダメだな…。遺伝子って、親のクローンみてぇだ。俺は、七季に手を上げた」
痛かった。
何度も、何度も叩かれ、殴られ、蹴られて。