黒桜 〜あたしと5人の黒狼〜
「…帰るぞ。クロ、七季」
「えっ…?ひゃっ!!」
こっちに歩いてきて、急に手を上に引っぱるレイ。
もちろんあたしは、レイの胸にダイブ!!
「ちょっ、なにすん……!?」
言い終わらないうちに、背中に手を回され、まさかのお姫様抱っこ。
「ちょっと!!恥ずかしいじゃん!」
「黙れ」
…ピシャッと言われ、睨まれたんですけど!
なんで機嫌悪くなってんの?
意味不明…。
「え〜…俺だけぼっちなの?」
「うるせぇ」
仲のいい(はず?)クロにまで、冷たい態度。
あたしの必死の抵抗も、あっけなくかわされ、レイはクルッと後ろを向いた。
視線の先には、座っている泰雅が。
「…おい。コイツにもう手ぇだすなよ」
「………あぁ」
そのとき、あたしは分かった。
もう、泰雅はきっと、大丈夫だなって。
あたしと同じ目に合う子はいないって。
泰雅の目から、伝わってきた。