黒桜 〜あたしと5人の黒狼〜
ていうか、別に付き合ってないじゃん…。
意味不明。
「そういうわけだから。…抱きまくら、ちゃんと仕事しろよ?」
あ。そういうこと。
“抱きまくら”のあたしね。
「抱きまくら…。え、ヤダ」
てか、まだ抱きまくら役やるの!?
「拒否権はねぇから」
そう言って、レイはあたしに近づき…
ヒョイッ
「キャッ!?」
体が、宙を浮く。
これって…お姫様抱っこ!?
「ちょっ!?降ろしてよ!!」
みんな見てるし!!
ていうかナツのやつ…すごいニヤニヤしてるし。
腹立つ!!
「じゃ、オヤスミ」
レイはそのまま、階段を上がっていく。
「おう。また明日なー」
「あのクソ女、レイに喰われんじゃね?」
「ですね」
後から聞こえた、三人の会話。
喰われるって…?
「…んな顔するなよ。俺は美味しいモノは、残しておく派だからな」
「……?」
その意味が、やっと理解できたのは、レイの部屋についてからだった。
もちろん、あたしに逃げ場などなく、抱き枕になる道以外、選択肢はなかった。