黒桜 〜あたしと5人の黒狼〜
「何がないんだよ?」
「あ、ううん。なんでもない…っと、そーだ!!先生から書類の整理頼まれてたんだった。ちょっと行ってくるわ!!」
頼まれてもいないウソを並べて、慌てて教室を飛び出す。
ヤバい。
ヤバいヤバいヤバい。
なんであそこでレイの顔が浮かんだの!?
ずっと抱き枕生活をしてたからかな?
うん、そう。
別に、他意はない。
絶対そう。
そんなことを自分自身に言い聞かせるように、ブツブツとつぶやいていたあたしに対し、
「なんだ?ナナキのヤツ…」
一人取り残された涼介は、ポカンとドアを見つめていた。