黒桜 〜あたしと5人の黒狼〜
だけど、喧嘩は超強いらしいんだ。
この学年で一番強く、ボスって呼ばれることもあるみたい。
…そんな風には見えないけどね。
「…なぁ?なんで今朝、春宮令と登校してたんだよ」
「え?」
春宮…れい…?
「…あぁ、あれね。っていうか、レイのこと知ってるの?」
「バッカ!!春宮令のこと知らない奴なんて、この学校にはいねぇよ」
「ウソ…」
そんなに有名だったの?
あたし、全然知らなかったんだけど。
「まさかお前…知らなかったのかよ」
「興味なかったしね。んで?どういう人?」
涼介は呆れた目であたしを見てから、ため息をついて話し始めた。
「春宮令。高3で何かと話題の男だよ。あんま喋らねぇし、授業はサボってばっからしいから、詳しいことは分かんねぇ」
「ふーん…」
高3…って、あたしの1個上じゃん。
先輩だったんだ。
「ただ、去年の夏、イケメンで調子乗ってるって、3年の剛林 力が喧嘩ふっかけたんだよ」
「剛林って、3年で一番強いって言われてる、あの?」
一度、カツアゲしてるとこを見たことがあった
。
とりあえず、ゴツくて体が大きい男。
「あぁ。…けど、シメに行ったはずの剛林が、血だらけになって帰ってきたらしい。どんな刃物を使ったって、普通の人間じゃ剛林には勝てないはずなのに」
血だらけ…。
「未だに、“春宮レイは暴力団を使った”とか、いろいろ噂はあるけどな。まぁ、イケメンだし?普通にしてりゃ、危害を加えることもねぇみたいだから、女子は勝手に親衛隊を作ってるみたいだ」
ううん…。
多分、暴力団なんて使ってない。
レイが一人でやったんだ。