夜明けのエトセトラ
「……へぇ?」
友達なら……か。
ボンヤリしていると、佐伯は割り箸で拍子を取りながら、微かに唇の端を上げる。
「お前、結構人見知りするだろ?」
社交的でないのは認めよう。
「だから、余りよく知らない野郎相手だと無口になりやすい」
まぁ、そうだね。
「相手もお前をよく知らないから、見た感じでイメージを作る」
「イメージ?」
口を挟むと、軽く頷かれた。
「だから、クールビューティーなんて言われる」
「いや、それは知らないから」
「本人目の前にして、そんな事を言うヤツがいるわけないだろうが」
それもそうだ。
「付き合い易いのは、単に楽で楽しいって事だと思う」
「そう?」
「だから……だと思う。だが、たまにそれが“居心地がいい”って勘違いして、恋愛感情だと思うヤツもいるな」
「勘違いなのか?」
「楽で居心地いいなんて関係は、恋愛じゃねぇだろう」
そう……なのかな?
考えていると、佐伯はすでに炒飯を食べ終わっていて、コップの水を飲む。
「……あのな」
「ん?」
「そんなのは、長年付き合って、すったもんだした後、お互いをよく解り合った上で“居心地いい場所を作った”関係とは違うだろ」
「……うーん?」
「惚れるって感情が、楽だと思うか?」
そんな事はよく解らない。
ああ、いいな、と、想った相手ならいたし……楽しいな、と思った事ならあるけど。
「俺に言わせたら初期でそうなる関係は、恋愛じゃなくて、単なる“馴れ合い”だと思う」
そう言われると、どこかで納得出来てしまう自分がいる。
……まいったな。何が参ったって……。
こんなに佐伯が、熱く“恋愛”を語るとは思っても見なかった。
「だいたいな、恋愛の最初なんてもんは上手く行かなくて面倒なもんだろうが」
面倒だと思うなら、しなきゃいいじゃないか。
「しなきゃいいんだろうが、恋愛なんて理性で考えるもんじゃないからな」
ふぅん?
「……って、お前さ」
「ん?」
「よくこの話題で、ラーメン食ってられんな?」
友達なら……か。
ボンヤリしていると、佐伯は割り箸で拍子を取りながら、微かに唇の端を上げる。
「お前、結構人見知りするだろ?」
社交的でないのは認めよう。
「だから、余りよく知らない野郎相手だと無口になりやすい」
まぁ、そうだね。
「相手もお前をよく知らないから、見た感じでイメージを作る」
「イメージ?」
口を挟むと、軽く頷かれた。
「だから、クールビューティーなんて言われる」
「いや、それは知らないから」
「本人目の前にして、そんな事を言うヤツがいるわけないだろうが」
それもそうだ。
「付き合い易いのは、単に楽で楽しいって事だと思う」
「そう?」
「だから……だと思う。だが、たまにそれが“居心地がいい”って勘違いして、恋愛感情だと思うヤツもいるな」
「勘違いなのか?」
「楽で居心地いいなんて関係は、恋愛じゃねぇだろう」
そう……なのかな?
考えていると、佐伯はすでに炒飯を食べ終わっていて、コップの水を飲む。
「……あのな」
「ん?」
「そんなのは、長年付き合って、すったもんだした後、お互いをよく解り合った上で“居心地いい場所を作った”関係とは違うだろ」
「……うーん?」
「惚れるって感情が、楽だと思うか?」
そんな事はよく解らない。
ああ、いいな、と、想った相手ならいたし……楽しいな、と思った事ならあるけど。
「俺に言わせたら初期でそうなる関係は、恋愛じゃなくて、単なる“馴れ合い”だと思う」
そう言われると、どこかで納得出来てしまう自分がいる。
……まいったな。何が参ったって……。
こんなに佐伯が、熱く“恋愛”を語るとは思っても見なかった。
「だいたいな、恋愛の最初なんてもんは上手く行かなくて面倒なもんだろうが」
面倒だと思うなら、しなきゃいいじゃないか。
「しなきゃいいんだろうが、恋愛なんて理性で考えるもんじゃないからな」
ふぅん?
「……って、お前さ」
「ん?」
「よくこの話題で、ラーメン食ってられんな?」