夜明けのエトセトラ
 ……と言うか、よく付き合えたよな。

 あたしは、あたしの何処が良いのか……なんて全然解らない。

 少なくとも男女の関係になるのだから、それなりに想っていてくれるんだろう。そこまでは理解できる。

 何処かが良くて、何処かがイケない。何となく、そこも解る。

 だけど、何が良くて、何がイケないのか……それがあたしには解らない。

 解らないけど、そんな事を考えていても生きてなんて行けない。

 答えなんてないのかも。何処かに答えがあるのかも。そんな事すら解らない。

 男から見たあたし……って、どんなんなんだろうな。

 かなり不思議。

 だから、プログラムテストが何事もなく無事終わって、佐伯にラーメンを誘われて……。

 男の佐伯に、それとなく聞いてみた。

「唐突だな」

 目を丸くする佐伯に、ちょっと視線をそらしながら頭をかく。

「何だか……今日は考える事があって」

 佐伯はチャーシュー麺の味噌を食べながら炒飯のお皿を引き寄せる。

 ……って、男って、どうしてラーメンでご飯を食べれるのか、そこも不思議だけど。

「男から見て、柏木のいいところなぁ……」

 難しい顔で眉をしかめる佐伯に、慌てて手を振る。

「一般的でいいんだ」

「一般論……ねぇ?」

 今度は首を傾げられて、ちょっと困っていると、ポツリと返事が返って来た。

「……付き合い易いだろうな」

 付き合い易い?

「お前の場合、自分が女だと自覚してるのか、相手を男と思ってないのか、謎なんだけど……」

「う…うん?」

「飲みに行っても一緒に騒げるし、女なら眉を潜めそうな下ネタでも乗るし」

「……え。うん」

「後腐れないし、女特有の媚びもない」

「ああ……」

「口も悪けりゃ態度もデカイが」

 これはどう解釈すればいいのさ。密かにケンカ売られている?

「それが男にしたら、楽で付き合い易いヤツって事になると思う」

「へ、へぇ?」

「ま。友達ならな」
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