王子様は女嫌い!?



貸し出しカウンターに座っているのは…




「唯君っ!!…ですか?」



「他に誰がいんだよ」




驚くあたしに少し苦笑いしながら答える唯君



そしてあたしから距離をとりながら言った



「本の整理は俺がやってやるから、お前は貸し出しやれ!!!!」



「……なんで?」



「……はぁ!!?!?」



「…なんで来てくれたの?」



唯君が眉をひそめる




あたしは目線を下に移した




「だってあたし…昨日ひどいこと言ったし、嫌われてると思ってたから…」




てっきり、今日も来てくれないのかと…




あたしが言うと、唯君は大袈裟にため息をついた



「仕事はちゃんとやるもんなんだろ?
いい加減にやるなら帰れって、お前が言ったことじゃんか。
俺だって、やるときはやるんだよっ」




そう言って、一瞬だけ、笑った




「―――っ」





その唯君の一瞬笑った顔が



あまりにも眩しくて



あまりにも優しくて




あたしの目に鮮明に焼き付いてて…




思わず服をキュッと掴む




あぁ、きっと、彼はいい加減なんかじゃない



だって今日、ちゃんと図書室に来てくれた



昨日あたしが言ったことを、覚えていてくれた




「―――っ」



それだけのことなのに、あたしは、胸がいっぱいになった





彼が、好きだと思った




< 12 / 40 >

この作品をシェア

pagetop