王子様は女嫌い!?
和也の言葉は、もはや冗談とは思えなかった…
ファン達もそれを思ったのか
バタバタと俯きながら去っていった
おっ…恐るべし和也…
「はぁ~ったく、何で怜美も大声で助け呼んだりしなかった?」
いきなり和也に話し掛けられて、一瞬肩が震えた
「すぐに逃げればよかったのに」
「だって…あの人達が現れてからの展開の速さについていけなくって…」
多少びくびくしながら答えるあたしに、和也は可笑しそうに笑って
あたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた
「ははっ、悪かったな。あんなとこ見せて。
じゃ、俺行くから!!!!」
「えっ?」
頭を直して顔を上げると
和也はもう歩き出しながら手を振っていた
―――――っ!!!!!
「かっ…和也!!!!!」
「……え?」
あたしが大声で叫んだのにびっくりしたのか
和也は少し驚きながら振り返った
「ありがとっ!!!!」
あたしがそう言うと、和也はニッと笑って、また歩き出した
「……かっこいいな」
思わず漏れた言葉
普通に、あれはかっこいいでしょ…
和也、ありがとう
心の中でもう一度お礼を言って
あたしは図書室に向かった
何も知らないまま…