本当の愛を教わる
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「愛してるよ、百合菜」
目の前の男が、そんな嘘を吐きながら、腰を動かしていく。自称遊び人だけあって、確かに上手い。
・・・だけど、全然気持ちよくなかった。ガッカリする気持ちを隠して、声を出す。
段々冷めていく気持ちとは裏腹に、体は熱くなっていく。
それから5分と立たないうちに、男が果てる。息は荒いが、まだまだ余裕そうな表情をしている。
「ね、気持ち良かったから、もう一回しない?」
爽やかに笑いながら、そんなことを聞いてくる。
「しない。確かに上手かったけど、全然気持ち良くなかった」
すると、声をあげて大笑いしながら、身体を起こしてベッドの端に腰かけた。合わせて身体を起こしながら、男にむけて言い放った。
「テーブルの上にホテル代の半分置いてあるから、支払いはよろしく。私はこれで帰るから、あとは好きにして」
ほんとさっぱりしてるね~、という男の声を背に着替え始める。手早く服を身につけ鞄を持つと、すでに身支度を整え終わった男が立っていた。
「俺も一緒に出るわ~」
相変わらず笑いながらそんなことを言う男に、好きにして、と再び呟くと部屋を出る。
会計を済まして外に出ると、互いに背を向けて歩き出す。
――それを見ていた人がいたとは知らずに…