本当の愛を教わる
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
年々開花時期の早まっている桜が、テレビ曰く例年と比べて8日早く開花した。
会社も年度末の非常に忙しい時期を乗り越え、新年度を迎えていた。
新入社員の歓迎会兼お花見は、部署ごとに行うのが慣例で、百合菜の所属するシステム開発部はどこの部よりも早く、新入社員がにゅうしゃしてからたったの3日後に開催された。
金曜日なこともあり、全員参加の飲み会が終わると、そのままその場に残る人、別の場所で二次会をする人など、様々だった。
そんな中、百合菜は帰宅しようと周辺の人達に声をかけ、腰をあげる。
そのまま帰ろうとした、その時だった。
「藤澤、ちょっと言いか?」
同じ部署の柘植に声をかけられ振り返る。
「私もう帰るから、二次会のお誘いだったらお断り。大勢でも、個人的にも」
「へぇ~。個人的でもダメなんだ?
ま、良いや。俺は単純に話がしたいだけだから」
鼻で笑いながら返してきた柘植を軽く睨みながら、歩き始める。
後ろを振り返りもせずに、言い放った。
「話があるなら、歩きながらにして」