歩んだ道
お母さんがまた口を開き
「あの人じゃないよ
本当にあんたは人間観察が好きなのね
よく見てるわ」
と、言い放った。
わかってたこと。
それなのに悲しくて
苦しかった
覚悟がちゃんとできてなかった
「あんたのお父さんはね
あんたが産まれてすぐ離婚したのよ。
最低な人だった。
どんな人か聞く?」
そう聞かれて僕は下を向いたまま
こくりと頷くとまた話し始めた
「本当に最低な人だった。
暴力は振るうしギャンブラーで
借金は背負うし女癖は悪いし
それであんたら守るために離婚したの。
嘘ついてたのは貴方を悲しませたくないから。
ごめんね。」
お母さんが僕に謝ったのは
この時が最初で最後。
顔をあげると、少し悲しそうな顔をしながら
目に涙を浮かべていた。