12月のアリス
そしてあたしの名前は
麻崎 紗和
21歳。
小さい小物やらなんやらをデザイン&製作する仕事をしている。
佐久間の後ろから、佐久間の担当さんが歩いてきた。
「やぁ、紗和ちゃん。いらっしゃい」
俺の名前は
川野 光
24歳
漫画家 夢野 佐奈の担当をしてる。
「今晩は、川野さん。川野さんもケーキどうぞ」
「ん、ありがとう」
彼女、麻崎 紗和を愛している。
紗和ちゃんが佐久間をスキなのは、見ていてわかる。俺が彼女を見てるから、言葉でなくてもわかっている。
「ロールケーキですよ、チョコレートが細かく入ってるんです」
「へぇ、美味しそうだね」
「俺後で食うな。〆切ヤバいから…」
佐久間が机に戻る。
「あ…、そう…」
紗和ちゃんはそんな佐久間をいつも寂しそうに見つめる。
いつも
いつも
俺のコトを
見てくれたためしが無い。