12月のアリス
「…、じゃあ、あたし帰りますね」
長い髪を耳にかけ、ニコッと笑う。
「どうして?もっとユックリしていきなよ」
「いえ、佐久間も仕事あるみたいだし…、あんまり邪魔しちゃいけないから、帰ります」
「そう?じゃあ、また来なよ。次は俺がお茶の用意して待ってるから」
「ありがとうございます。また来ますね。川野さんもお仕事頑張ってくださいね」
「うん、頑張るよ。ケーキありがとう、じゃあ、また」
「はい、さようなら」
彼女は笑顔で帰っていった。
多分その笑顔の裏には
涙が隠れている。
佐久間の為の涙を。
佐久間の為にしか流さない涙を。