小悪魔な彼にこっそり狙われています
「井上、さん……?」
じっと見つめる目に思うのは、その手を止めないでほしいという欲望。
触れて、重ねて、その想いと情熱で包んで乱して、グシャグシャにしてほしい。
『あなたに、触れられたい』と、本能が叫んだ気がした。
その心を読むかのように、来栖くんは言葉なく私の腕を引き体を抱き寄せる。
そして先ほどより荒々しく、求めるようなキスをして私のシャツの裾から手を滑り込ませた。
自然な足取りで寝室へ向かい、柔らかなシングルベッドに体を沈める。
キスのあいだに一枚一枚脱がされる服は床へ落とされ、あっという間にふたりは裸で肌と肌を重ねた。
「……ん……あっ、来栖、く……」
「……かわいいです、井上さん」
彼は目を細めて、そっと笑った。
熱い私の体温と冷たい彼の体温が混じり合って、その肌も熱を帯びていく。その変化が、とても愛おしく感じられる。
一夜の過ちだった、はずなのに。
彼に抱かれる今この瞬間をなにより求めていたのかもしれない、なんて思うほど。
私の中が、来栖くんでいっぱいになっていく。