小悪魔な彼にこっそり狙われています
8.一夜だけでも






コーヒーの香りで、目が覚めた。



朝は苦手だ。けど、この香りが彼女が部屋にいることを知らせて、起きなければと思わせる。

まだ寝ていたい体を無理矢理起こし、寝癖のついた髪をぐしゃぐしゃとかくと、ゆっくりとベッドから降り隣のリビングへと向かった。



半開きのままだった部屋からリビングへ出れば、大きな窓から朝日が室内を照らしている。

その部屋の壁際にあるキッチンでは、新品のコーヒーメーカーを使い、コーヒーを淹れる後ろ姿。



俺のTシャツをワンピースのように着ている華奢な彼女に、俺はその体を後ろからぎゅっと抱きしめた。



「わっ……晶くん、おはよう」

「おはようございます」



ポタ、ポタ、とドリップされているコーヒーからこちらへ目を向け俺を見ると、彼女は少し驚きながらも腕の中におとなしくおさまる。



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