小悪魔な彼にこっそり狙われています
そんないきなりの約束から、2日後。
私服姿の私と、来栖くん。ふたりが立つ目の前にあるのは、大井町の駅前のショッピングセンターだった。
紺色の半袖シャツに、ロールアップさせた白いズボンを合わせた格好の来栖くんは、いつも以上に無になった表情で口をひらく。
「……デートの行き先って、ここですか」
それに対し、青いトップスにタイトな白のレーススカートという私服姿の私は冷静に頷いた。
「えぇ。来月納涼会があるじゃない?その時のビンゴ大会の景品買いに来たの」
そう。うちの会社では、年に2回、お盆休み前と年末年始の休み前に、社長主宰で社員全員を対象とした大きな飲み会がある。
その中でのビンゴ大会の豪華な景品の数々を揃えるのが、毎回の私の役目だったりする。
それを説明した私に、来栖くんはどうも腑に落ちなさそうだ。
「それ、俺荷物持ち……」
「なに言ってるのよ。男女がふたりで買い物なんて、デートみたいなものでしょ。ね!」
「んな無茶苦茶な……」
彼の言うとおり、無茶苦茶な言い分でまとめると建物内へ歩き出す私に、来栖くんも続いて歩いた。