人魚の詩
初夏
きっと死ぬまで忘れることのない夏
これから話す出来事は俺が高2の時のことで
一生、あの瞬間と共に生きてくんだと思う。
あの時の俺は、多分人生で1番笑っていた。
そして常に不機嫌で、体力が有り余っていた。
「つまんねえ。」
が口癖だと思っていたけど、あの時は他にも口癖があったと思う。
ヤバイもウケるも口癖だったような気がする。
ただ、本当にそう思っていたのかと聞かれると
何とも言えないのが事実だ。
あの頃の俺たちは面白くなくてもウケてたし
何に対してもとりあえずヤバイと言っていて
「つまんねえ。」って言いながらそれなりの日々を送っていた。
だがそんな俺の前に、突然アイツが現れて俺の毎日は一変した。
急に、毎日がキラキラと光って見えた。
人は〈思い出〉にするとその時の感情も〈思い出〉になると思う。恋心が〈思い出〉になる瞬間を俺は知っている。
ある夏の話。