僕と君と…
『ダンッダンッ…ダンッ』

あぁ。懐かしい音が聞こえる。

床にボールが弾む音…。





こんな時間に誰が体育館にいるのだろうか…?
先輩とかだろうな。きっと。




今は、気分的に会いたくない。
さっさと帰ろう。

廊下の窓を覗くとあたりはすっかり暗くなっていて、帰宅を急ぐ生徒達が見えた。


時計は7時半を回ろうとしていた。
相変わらずこの学校緩いな、、



そう思っていたその時だった。




「あすかー?もういいじゃん。早く帰ろー。」





女の子の声がする。
あすか…聞いたことあるような。





「ごめん!みほ待っててくれたんだ〜!今行くから!」






一瞬胸が高鳴った。
俺は逃げるようにその場を去った。











急いで家に戻りベッドに座る。

途中すれ違った母親に不審な顔をされた。



机の下で1年くらいの間ほっとかれていたバスケットボールに手を伸ばす。
最後に使ったのは、、いつだろうか。



ボールをもって昔の感覚を思い出そうとした。
この感じ、いつぶりだろうか。



昔やっていたようにボールを操ってみる。



「だめだ。俺。全然出来ねーや。」




こんなことしている自分にむしゃくしゃしてボールを壁に叩きつけた。





『ドンッ』と大きな音がした。






したから怒った母親の声。
「ちょっと!!危ないじゃないのよ!ボールは壁にぶつけないでって前に言ったじゃない!!」





俺はなにも言わなかった。
ただの八つ当たりだとわかっていたから。


壁に当たったボールが転がって足元で止まった。





「前に言ったって…前っていつだよ。」







1人で静かに呟いた。

そして机の上に置いてある一枚の写真に手を伸ばした。

2年前の俺はユニフォーム姿で笑顔でピースしていた。







「思い出したくない、大切な思い出。」








そう呟いてボールを蹴った。
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