僕と君と…
-千鳥 あすか-


今日も、頑張ろう。
そんな風に言い聞かせながらボールを手に取る。





思えば私がバスケ部に入部するのはお兄ちゃんがきっかけだっけ…?




私の1つ年上のお兄ちゃんは中学の時バスケをやっていた。

お兄ちゃんの中学最後の試合、私はそれを見てからバスケに憧れを抱いていた。



試合終了のギリギリにお兄ちゃんが放ったシュートが入った時は本当に感動した。

私もあんな風になりたい!
そう思っていた。


そして高校からバスケを初めたのだが、ここの学校のバスケ部はひどかった。

顧問の先生は真面目に教えてくれないし、それに漬け込んでほぼ全員幽霊部員。

ほぼ毎日私は1人で練習していた。




そんな中でお兄ちゃんに教えてもらった基本のシュートやドリブルをやり続けた。

私、どうなっちゃうのかな。

こんなに頑張っても報われない気がする。


そんな不安に駆られる。



気づけばもう7時半だ。



遠くから美保の声がした。
「あすかー?もういいじゃん。早く帰ろー。」


待っててくれたんだ…。


優しさについ胸がジーンとする。

「ごめん。すぐ行くから!」




私は急いで片付けた。






「あ、そういえばあすかさ、さっき体育館の入り口で男子の先輩があすかのこと見てたけど知り合いかなんか?」

…男子の先輩?




「私は知らないなー…?忘れ物か何かじゃないかな?」




少し気になったけど、疲れていたのでそう答えておいた。








明日も、頑張ろう。
そう思って今日も眠りにつく。
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