☆甘い恋の秘密はキミ限定☆

＊出会い＊

○初めて王子様に遭遇しました。

それは、高校１年生の暑い夏のある日――。


高校生活にも慣れて順調な毎日を送っていた。


……はずだったんだけど。


「猫ちゃ～ん……どこに行っちゃったの？」


学校内にある中庭や校舎裏も探してみるけど、お目当ての方には遭遇できずにいた。


おかしいなぁ。この辺りまで来たのは確かなんだけど。


遡ること３０分くらい前。


私、神崎優愛（かんざきゆあ）は、偶然見かけた真っ白な子猫ちゃんを追いかけてきた。


雪みたいに真っ白なふわふわの毛並みに、小さいけれど長い尻尾を優雅に揺らして歩いていた。


小さい頃から猫が大好きな私は、その子猫が気になって追いかけてきた。


でも、探しても探しても子猫ちゃんは見つからなくて諦めていたその時。


この学校の中では一番大きな木の下で誰かが寝ているのを発見する。


こんなところに人が寝てる……？


恐る恐る、でも静かに足音を立てないように近付けば、寝ている人の容姿がハッキリと見えてくる。


夏の生温い風に黒髪が静かに揺れる。


その風に乗って甘い香りがした。


どこから……？