☆甘い恋の秘密はキミ限定☆
「じゃ、これくらいなら大丈夫かな」
2歩前に戻ってきて春野君との距離が少しだけ縮まった。
「ここなら声聞こえる」
私が怖がらないように気遣ってくれてるのがわかる。
私の3歩前にいる春野君はまた腰を屈めて私に目線を合わせてきた。
「名前、教えて?」
ふわりと優しく笑った。
それはまるで春の日差しみたいにとても優しい笑顔。
春野君の名前にぴったりな笑顔。
いつもなら男の人と目を合わすことも喋ることもなかなかできない私が何故か春野君だけは怖いって感じない。
でもやっぱり人見知りはそう簡単に克服できるものじゃなくて、目はなかなか合わせられず下を向いてキョロキョロしてしまう。
「あ……」
ちゃんと名前言わなきゃ。
そう思っていても次の言葉が出てこない。
せっかく話かけてくれてるのに、これじゃまた変な子だって思われる。
「俺は春野朝陽」
まだ何も言い返せない私を見兼ねてか春野君は自分から自己紹介してくれた。