【書き下ろし】太陽の声にのせて
にこっと笑う、彼を私は知っている。
「お、岡崎太陽くん……っ」
私は目をまるくした。
だって一度もはなしたことのないクラスメートが
私に話しかけてきたんだから。
「ふぅん、知ってんだ?」
そりゃ、知らないわけがない。
岡崎太陽くんはクラスの中心人物で、
学校にも友達がたくさんいた。
そのくせ、しっかりと自分の意見を言う彼。
そんな彼を私は羨ましいと思ってみていた。
見た目も背が高く、スラっとしているから
女子だって集まってきて、本当に彼の周りはいつもにぎやかだった。