【書き下ろし】太陽の声にのせて
「そっか……」
もう一度笑顔を見せると、彼は言った。
「怒んねぇのな、こんなこと言っても」
そして、頭を優しくポンと叩くと彼は屋上から去って行った。
……なんだったんだろう。
言葉は冷たかった岡崎くん。
だけど、触れた手は温かくて、励ましてくれるかのようにも見えた。
単なる勘違いかな。
ひゅんと冷たい風が吹く。
思わずあの時のことを思い出してしまいそうになったけれど、
私ぎゅっと目をつぶって忘れようとした。