charm
━カチャッ
「う、うわあぁっっ?!!」
目の前には、薄っすら茶色がかった髪の毛で、コウさんにそっくりな男の子が立っていた。
「はっ、なんだよその声」
八重歯を覗かせて、クックッと笑う目の前の彼。
「そっちこそ驚かさないでよ、シュン」
コウさんの一人息子のシュンだ。
2年程前にコウさんが紹介してくれてから、ギコチナクだが少しは仲良くなれた…と思う。
私より1歳年下の彼は、現在高校1年生。
身長は175cmほどで、細身で薄っすら焼けている体に、程よい筋肉がついてる。いわゆる細マッチョだ。
「悪かったよ。そんなに怒るなよ」
トン、と扉の枠に腕をかけるシュン。
彼の鋭い瞳は、ジッと見つめることができない。
心をすべて見透かされているような気分になるから、落ち着かないのだ…。
「お、怒ってない。それより、なんでこの部屋の前に?」
コウさんも疑問だったのか、
そうだそうだと言いたげにシュンを見つめていた。
「あ、そうそう。忘れてた」
ポケットをゴソゴソとしてから、何かを取り出した。
「ほら」
ギュッと何かを掴んでいる拳をこちらに向けてくるので
ゆっくりと受け取って見てみると
うん…??
━ チャラッ
「か…ぎ…?」
どこかの鍵と、それにゴールドの犬のチャームがつけられている。
「ここ、お前ん家だろ??鍵ぐらい持っとかねえとな」
少し照れくさそうに言うシュンが、
とても可愛らしく、愛おしく見えた。
私、家族として歓迎してもらえてるんだ…
体の中でスッと何かが抜けていって
「ふふっ…ありがとう、シュン!」
自然と笑顔がこぼれていた。
すると、横からスッと頭をポンポンしてくるコウさんが。
「よかったね、ニイナちゃん。
シュンと兄弟仲良く、これからもよろしくね」
家族っていいな、と思った。
「はい!!」
ずっとずっとこの幸せが続いてくださいと願った。
これからは2人の幸せが、4人の幸せになるんだ。
もう、ママが辛い思いしなくて済むんだよ。
ずっと欲しかった家族の温もりに、涙がこぼれそうになった。