腹黒御曹司がイジワルです

プレッスル食品では、マーケティング部に配属された彼。

マーケティングは、市場の動向を敏感に捉える力がものをいう。
それに合わせた商品開発を提案しなければならない。

営業と同様、自分の力が売上げに直結する部署でもある。

プレッシャーがあるはずなのに、成長する自分を思い描いて働いている彼は、魅力的だった。


「我妻さんは、どうして営業に?」


彼は不思議そうな顔で私に尋ねた。

たしかにうちの女子社員は、営業より事務の方が圧倒的に多い。


「私も自分の力でなにかをしたかったからでしょうか。締日に上がってくる伝票を待つだけではなく、自分でその伝票を上げたかったというか……」


そうやって必死に働いていたら、いつの間にか事務をしている女子社員に“鉄の女”なんて陰で言われるようになってしまった。

ひたすら売上げを上げることだけ考えて動いているから、無表情で怖いらしい。
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