腹黒御曹司がイジワルです
今日は私の好きなイタリアンレストランに連れていってくれると言っていたのに。
でも、仕事が入ったのだろう。
チラッと腕時計に視線を移すと、まだ二十時前。
それでも約束自体を破棄されなくてよかったと思い直し、ひとりで食事に行くことにした。
牛丼屋にひとりで入るのは、もう平気になってしまった。
数字とにらめっこして必死に戦う毎日。
仕事にのめり込んでしまうと、食事もほとんど外食かコンビニになる。
「牛丼並をひとつ」
注文を済ませると、早速タブレットで売上速報をチェックする。
今日は仕事のことは忘れようと思っていたのに、ひとりになるとそうもいかない。
「あっ、新規が上がってる」
すぐに出された牛丼を口に放り込みながら、また次の戦略を考える。