憂鬱な午後にはラブロマンスを
結局、その夜は俊夫と珠子は食事をしただけで終わってしまった。
自宅へ帰って来た珠子は俊夫との食事に疲れてそのままベッドに寝そべってしまった。
仰向けになり天井を眺めていたがふとベッドの宮に置いている写真へと目がいった。
「洋介・・・・もう完全に終わっちゃったね。私達。」
写真を手に取るとその写真を胸に抱きしめた。そして珠子の目から一滴の涙が流れ落ちた。
写真を抱きしめたままいつの間にか眠ってしまった珠子。
まるで昔のように洋介に抱きしめられながら眠っている気分だった。
たかだか写真なのに洋介がそこにいるような気分にさせられた。
そして、翌朝、
自分が洋介の写真を抱きしめていたことに気付くと写真を慌ててベッドの宮へと戻し洗面所へと走った。
「未練がましい・・・・」
洗面所へ行くとあまりにも情けない顔が鏡に写し出された。
目は赤く腫れ涙の流れた後が残っていた。
こんな顔をして会社へなど行けないと珠子は冷たい水でしっかり洗顔すると厚めの化粧で顔を隠し会社へ行くことにした。
「こんな顔、洋介に見られたくないのに。」
洋介には気付かれません様にと祈る思いで自分の職場へと歩いて行った。