憂鬱な午後にはラブロマンスを
「どこからそんな情報を手に入れたの? それにそんな情報を真に受けたの?」
「正式なルートから仕入れた情報だ。」
「正式? そんなものが存在するの? 信じられないわ。」
珠子は結婚するつもりもないのに、何故社長との結婚話を洋介が知っているのか不思議だった。
それも、結婚すると言う話を聞いているようだが、珠子はプロポーズはされたものの返事はしていないし、まして結婚すると言う返事もしていない。
「珠子、再婚するつもりはないのか?」
「余計なお世話だわ」
「・・・・そうか」
珠子にとって洋介は許せない存在なのだ。そんな相手とまともな会話をしようとは思ってもいない。だから、必要以上の話はしないし避けるべきだと考えている。
だからこの時も事実は話さなかったし社長とのことも話す気はなかった。
「今日はどんな打ち合わせがあるのですか? もしないのなら私はパソコンの作業に時間がかるので自分の仕事に戻りたいのですが。」
珠子の寄せ付けない態度に洋介は戸惑いながらも我慢するしかないと思った。余計な事を話して珠子の機嫌を損ねてしまうと、またどこかへと逃げられそうに感じたのだ。