憂鬱な午後にはラブロマンスを
抱きしめられる洋介の体はまだかなり熱が高いのか湯たんぽに抱かれている気分だ。珠子はそんな洋介が愛しくてたまらなく頬を胸に摺り寄せていた。
結婚していた当時はこんな風にいつも胸を摺り寄せ洋介に甘えると、優しくも激しいキスをされていたと珠子は当時を思い出す。
すると、洋介もその頃のことを体が覚えていたのか珠子の頭を引き寄せるとあの時のようなキスをした。
「洋介?」
何度も重なる唇に珠子は懐かしさよりも愛おしさで涙が流れてしまった。
もっとこんなキスを沢山したかったと今更ながら思い知った珠子は洋介に抱き着いて自らも洋介の唇を欲しがった。
まるであの時のキスだ! と、珠子は嬉しくなって何度も唇を重ねた。だけど、そんな昔の幸せに浸れているのも束の間、洋介は深い眠りについていた。
「洋介・・・もっとキスしてよ」
眠ってしまっているのに珠子の言葉など聞こえてはいないのに、それでも珠子はキスを止めて欲しくなかった。
洋介の唇にキスをしても洋介の反応はなくただ眠り続けていた。
「洋介! もっとキスしようよ。ねえ、洋介!」
珠子は自分がこんなにも洋介を忘れられていない事を思い知ると離婚を選んだ自分を恨んだ。