憂鬱な午後にはラブロマンスを
社員旅行はラブラブで
あっという間に社員旅行の日がやって来た。
俊夫はこの旅行でもっと珠子に近づいては誘惑しようとそれなりに画策していた。
そんな野獣臭さに気付いているのか洋介は俊夫の動きに警戒していた。
この会社へ入社したその日の挨拶で、社長の俊夫から珠子に求婚したと聞かされ、それ以来俊夫と珠子の関係が気になって夜も眠れない程だった。
そんな毎日を過ごしていると、この旅行で俊夫は野獣化し、か弱い珠子に襲い掛かり我が物にしてしまうのではないかと恐ろしくなった。
「おい、珠子。お前、今日は俺と一緒に行動するぞ。」
旅行先の観光について郁美と話し合っていた珠子の所へと洋介がやって来てまるで部長命令の様に言う。
まさか洋介にそんな命令紛いなセリフを言われるとは想像していなかった珠子は驚きで郁美の顔を見てしまった。
「え? でも、部長は他の部長たちと一緒じゃないの? 私は郁美と」
「あら、私は珠子と部長の三人一緒に行動したいわ。」
郁美は珠子が最近何かを隠していることに興味を持っていることと、親友の自分には何も教えてくれないことに腹立たしさを感じていた。
それだけに、この社員旅行は絶好のチャンスになりそうだと思った。珠子から全てを聞きだすチャンスだと。
何故、珠子が社長秘書の小田に呼び出され続けるのか。そして、洋介に妻がいると知りながら珠子がどうして病人の洋介を介抱したのか。
郁美にとっては謎だらけだった。そして、その事は郁美だけでなく他の社員も気になるところでもあった。