憂鬱な午後にはラブロマンスを

「申し訳ないが君のことは調べさせてもらったよ。だけど、君に離婚歴があっても私は構わないよ。それに離婚の理由を聞きたいとは今はまだ思っていないから。」


俊夫の「今は」と言う言葉には「いずれ聞きたい」と言う意味なのだろうと珠子はそう感じた。どちらにしても、珠子は一度結婚で痛い目にあっているだけに再婚は考えていなかった。


「何故、私なんですか? 他に綺麗な社員はいるし若い子だっています。仕事の出来る人だっているし。」


珠子は次々にもっと社長に相応しい女性社員はいるのだと話そうとすると、ここで再び俊夫の指が唇を押さえた。


「私は仕事の出来る女を妻にしたいとは思わないよ。それに、君もキレイだしとっても可愛いと思っている。私は君の思いやりのあるところや癒されるその笑顔が好きなんだ。家庭に居て欲しい妻はそんな女性だと思っている。浮ついた気持ちで話しているんじゃないんだよ。」


俊夫の真剣な面持ちに珠子はますます気まずくなってしまう。

そもそも、滅多に顔を会わすことのない社長がどうしてこのような好意を持ったのか珠子は謎だった。

どこかで接触したのだろうかと不思議だった。


「いきなりのプロポーズでは困らせるよね? 考える時間は与えるよ。でも私はそう気の長いほうではないんだ。出来れば早めに返事が欲しい。」

「でしたら、私は、」

「いきなり断わりの返事は聞かないよ。しっかり将来を考えてから返事をしてくれないか?」



俊夫はかなり本気で珠子は速攻で断りの返事が出来なくなった。

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