女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~


 ・・・そしたら、私たちがどつき合いをしていたわけね・・・。

 納得した。

 勿論晩ご飯は出来ていないから、分担して家事をやることにする。

 そしてお風呂に入ってから食卓につき、それも終わった夜の11時、テーブルでお茶を飲みながら、彼が私の家出中にしたことを教えてくれた。


「今回は」

 クーラーのスイッチを切って、窓を全部開け放って風を入れてから、彼が言った。

「君がいつか帰ってくることは判っていた。だから君を探すより、とにかく本当に玉置がやったのかどうかを調べようと思ったんだ」

 私は冷え防止に着ていたカーディガンを脱いで、え?と彼の顔を見た。

「・・・だって、あなたは彼女じゃないって・・・私の考えすぎだって言ってなかったっけ?」

「そうだな。でも俺は、君の頭を見くびったことはない。君がこうだと思っているなら、それ相応の理由があるんだろう、くらいは思う。・・・後で聞くと、その理由が口喧嘩の内容だったとは思わなかったけどな」

 私は首を傾げて手を振った。

「・・・まあ、言ってなかったものね、こんなこと言われた、とかは」

「それで」

 椅子にもたれて私をじっと見ている。思い出しているような顔をしてゆっくり話していた。

「前の百貨店のやつらを飲みに誘った。人事異動の話で盛り上がり、その中に玉置の話題を入れて様子を見てみたんだ。すると、一瞬で皆の反応が悪くなった。口にしちゃいけないことのように黙ってしまう」


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