女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
私が首を傾げたまま待っていると、桑谷さんはやっと顔を上げて言った。
「・・・それでこそ、小川まりだ。よくよく俺は大変な女に惚れたもんだ」
答えようがない。私は黙って肩をすくめて見せた。
まだ笑っている彼に、そういえば、と言った。
「今日、緘口令をといたの。明日には、桑谷の嫁さんが妊娠したって噂が広まってるはずよ。あなたはまた方々からいじられるわね」
彼はにやりと企んだ笑顔をした。
「その話を声に出して俺に言ったやつ全員から、お祝いをむしり取ってやる」
そしてまた楽しそうに笑っていた。
私はやっと本当に心が軽くなったのを感じた。
もう時刻は12時を回っていて、早く寝ないとと彼に寝室に追い払われ、私は笑顔でベッドに入る。
後片付けは彼がしてくれるらしい。
急速に眠りの中に引き込まれながら、私は薄れる意識の中で考えた。
・・・・バカ女は退治した。そして、彼は私と一緒にいる。
これでまた、勝ち点ゲットだ。