女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
つーか、あんな美人なんだから特に男には困らないだろう。だって実際に浮名を流しまくっていたらしいし。ということは、こんな癖のつよい所帯持ちの男を今更狙うとは思えない。
そこまで考えて、ようやく私は落ち着いた。
うん、と一人で頷く。
そしてお茶をまた飲んで、廊下の端につんでおいてある毛布をまきつけて壁にもたれた。
静かな夜の中、暗い廊下で庭の花や植物の影をみていた。
色んな考えが浮かんでは消えていく。その内に、うとうととして私は眠ってしまったらしい。
何せ寝込みを襲われて激しい運動をした後だし、時間もすでに2時を回っているはずだった。
廊下で毛布に包まって寝てしまった私を桑谷さんが抱き上げてベッドに運んでくれたことには気付かなかった。
それほど深い眠りに落ちていた。