女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
第2章 変化

1、持病の悪化と母の日



「ううう~・・・」

 売り場で私は頭を押さえる。

 いてーよ・・・。痛い、痛いんです、頭が。

 ついよってしまう眉間の皺を深呼吸で伸ばして、私は接客用の笑顔をはりつけた。

 それを見ていた竹中さんが心配そうにケースの前から声をかける。

「大丈夫ですか、小川さん?」

 私は軽く手をひらひらとふって微笑んでみせた。

「・・・大丈夫じゃないけど、まだ我慢できる。薬はあまり飲みたくないのよね。学生の時に頭痛薬飲みすぎて、血液がさらさらすぎるって医者に怒られたことがあるし」

 ああ~と竹中さんが手を打つ。

「それじゃあもう薬が効かない体になっているでしょう」

「うん、飲んでるから大丈夫!っていう自分の意識だけで直す、みたいな」

 二人でそうそうと頷いた。

 私はお腹は強いらしく風邪だろうが多少傷んでいるものを食べようがお腹を下すことはないけど、頭痛はすぐにくるのだ。

 でもここ最近なかったのにな~。何だろう・・・引越しって案外ストレスが強いらしいから、実は体がストレスを受けてたのかな?

「あ、小川さん、母の日のプレゼント決めました?」

 隣で竹中さんが言うのに、え?と顔を上げた。

「・・・母の日?」

 私の言葉に呆れたように竹中さんはケースの上のポップを指差す。

 そこには百貨店から支給された『母の日ギフト好適品』の旗が、2000円のギフト商品の上にはってある。


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