女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
3、夫婦喧嘩勃発
いざ、検査をしようと思ったら、何とビビッてしまった私だった。
そして最後の望みに、もしかしたら刺激となって生理が始まるかも(妊娠してない場合よ、勿論)、と思って桑谷さんに襲い掛かり、やっと体調が治ったの、などと言いながらかなり激しいセックスをしてみたりもした。
まあ結構なお預けを食らっていた彼のスイッチの入り方は早く、私が主導権を握っていたのは最初だけで、後はすぐまた組み敷かれてしまったのだけど。
だけど、出血はなかった。
そして今日は彼は出勤、私は休み。
外は雨で、気晴らしにショッピング、ともいかない。女友達の弘美に電話もしてみたけど、現在締め切り前らしい彼女は相手が私だと判ると10秒でガーっと言い訳を喚いて電話を切った。
・・・優しい友達だわ、ほんと。
あぐらをかいて縁側に座る私の前には妊娠検査棒。
これが、結構高いと知って薬局で驚いたものだった。買うのは人生で初めてだ。元々私はあまり恋愛経験が多くないし、結婚するまではちゃんと避妊もした。
「よし」
掛け声をかけてトイレへ向かう。
説明書を読みながら、テキパキと検査をした。便座に座ったままで、じっと検査結果の現れる窓を見詰める。
するすると色を変えて、検査が成功したことを示す線が現れる。そして、ハッキリと横線が浮かび上がった。
説明書を見る。「━線が出れば陽性」・・・・出てる。ってことは、陽性。陽性ってことは・・・ビンゴ。
もう一度検査棒を見る。ガッツリと横線。
私は支度をしてトイレを出た。
携帯で写真を二回撮って、紙で厳重にくるみ、検査棒を捨てた。桑谷さんには見つからないように。