女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
私は呆れて座り、嬉々としてあくどい計画を考える母親を見ていた。
誰だ、この人。何だその楽しそうな瞳は。ていうか、怖い。この人、怖い女なんだ~・・・。
大体どこにいるのよ、そんな身勝手な計画にのってくれる極上の男が。極上の男は友達にいるにはいるが、あいつは堅物だからそんな計画には絶対に乗りそうにない。
「お母さん・・・それは、犯罪です」
一応言ってみたけど、既にテンションが上がっている母は笑い飛ばしただけだった。
勿論バレないようにするのよお!とはしゃいでいる。
私は椅子に座り込む。
「やだ。そんな面倒臭いことしない」
私が言うと、ちぇっと膨れていた。私はドン引きする。膨れるか、アンタ一体いくつなんだ?はしゃぎまわる母を見て、どっと疲れた私だった。
「なら仕方ないから正々堂々と喧嘩を買ってみたら?出来るだけ人通りの多いところで、その人の化けの皮をはがしてやればいいわ」
「・・・ああ、うん・・・。努力、する・・・」
翌日、ここの料金は私持ちにしといたから~!結果はちゃんと電話してよ~!と明るく騒がしく手を振って母は帰って行った。父の待つ沖縄へ。
私はそれを見送って、部屋で睡眠をむさぼる。
眠い。そしてダラダラと続く不快感に疲れていた。うちで心配しているだろう彼を思う余裕もなく、私はコテンと眠りに落ちた。