女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
私は、温められる。
薄紅の光りが部屋に差し込んでくる。私はとても敬虔な気持ちになる。
そして静かに彼の耳元に唇を寄せ、囁いた。
「あなたも人の親になるの」
規則正しい彼の寝息。
明けていくこの世界。
お腹の中の新しい命。
「私達に子供が出来たのよ」
その言葉は金色の粒子となって昇華する。柔らかい幸福感が私をふわふわと包み込んだ。
もう一度一人で笑って、彼の隣に体を寄せる。
そしてまた、深い眠りに入っていった。