女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
「ここの支払いは済んでるから、フロントに鍵だけ返してね。あと私の荷物全部持って帰ってくれる?生理が始まったかもだから、薬局に直行してから家に戻ります。この1週間の話は帰ってからで!それじゃあ宜しく!!」
言い切ると同時に部屋のドアを閉めた。
ホテルの前でタクシーを拾って産科に急行する。起きてから15分後には産科に到着していた。
相変わらずここの病院は空いていて、すぐ診察に入れた。
先生が診ている間も私は冷や汗をかきっ放し。彼だけは知らないが、既に告知済みのあとの親族数名を嘆き悲しませる結果にだけはなりませんように!と心の底から真剣に祈った。
「―――――大丈夫、だね」
先生の声にハッと顔をあげる。
「子供は大丈夫みたいですよ。子宮からの出血ではなくて、もっと膣の入口のほうで切れたんだね」
ホーっと私は息を吐き出した。
ああああ~・・・・良かったあああ~・・・。子供じゃなかった。流れちゃったんじゃなかったんだあ~・・・。
私のその様子を見て、岩井先生は厳しい顔で言った。
「これ、もしかしたらレイプとかではないだろうね?もしそうなら―――・・・」
ビックリした。だけどよく考えたら、私は寝起きのまま顔も洗ってないし、勿論化粧もしてない。つまりボロボロの外見だ。そして唇は腫れ、あそこも出血するくらいの状態なわけだ。
私は慌てて両手をぶんぶん振る。
まあ多少無理やりではあったけど、一応、合意の上ですから!
「大丈夫です!違います!えーっと・・・・ちょっと夫婦喧嘩をしまして・・・仲直りが激しかったと言うか・・・」